生活福祉資金貸付制度は生活に困っている人が低金利または無利子でお金を借りられる公的な制度です。自己破産や債務整理でも借りれるの?ここでは制度の概要や貸付の条件、審査に落ちてしまう人の特徴について解説しています。

生活福祉資金貸付制度とは?審査・貸付条件

どうしてもお金借りたい!その理由が例えば入院費用が足らないなど、緊急の資金を調達したい場合は、社会福祉協議会の生活福祉資金がおすすめです。

生活福祉資金とは、低所得者、障害者、高齢者の世帯に緊急時の資金を支給する制度のことです。

原則として連帯保証人が必要ですが、連帯保証人なしで借り入れできるプランもあるので、生活福祉協議会に相談してみましょう。

生活福祉資金貸付制度について

生活福祉資金貸付制度とは、低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的に支えるとともに、その在宅福祉及び社会参加の促進を図ることを目的とした貸付制度です。

生活福祉資金貸付制度は、都道府県社会福祉協議会を実施主体として、県内の市区町村社会福祉協議会が窓口となって実施しています。

低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯等世帯単位に、それぞれの世帯の状況と必要に合わせた資金、たとえば、就職に必要な知識・技術等の習得や高校、大学等への就学、介護サービスを受けるための費用等の貸付けを行います。

また、生活福祉資金貸付制度では、資金の貸付けによる経済的な援助にあわせて、地域の民生委員が資金を借り受けた世帯の相談支援を行います。

  • 就職に必要な知識・技術を習得するための資金
  • 高校や大学へ就学するための資金
  • 介護サービスを受けるための資金

    こういった用途で貸し付けてもらえるものです。ただし、これらの資金は“低所得世帯向け”という条件があります。

    利子は資金の種類により異なりますが、無利子だったり、1.5%・3.0%などと低利子だったりと、一般的なキャッシングより返済負担が軽いのがメリットです。

    また、平成27年4月から施行された新規ウィンドウで開きます。生活困窮者自立支援制度が始まり、生活福祉資金貸付制度と連携した次のような支援が一定期間行われるようになりました。

    生活困窮者自立支援制度とは簡単に言えば「仕事が見つからない」「社会に出るのが不安」「家賃が払えず家を追い出されそう」など、さまざまな困難の中で生活に困窮している方に包括的な支援を行う制度です。

    両者ともに生活上のさまざまな課題を抱えた方に包括的な相談支援を継続的に行うことにより、自立の促進を図ることを目的としています。

    この生活困窮者自立支援制度の施行に伴って、生活福祉資金貸付制度においてもより効果的に金銭的な支援だけでなく、利用者が今後安定した収入を得られるようサポートしてもらうことが出来ます。

     総合支援資金と緊急小口資金の貸付にあたっては、就労支援をはじめ包括的な支援が必要であることから、就職が内定している者等を除いて生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用を貸付の要件とすることになりました。

    生活福祉資金貸付制度のメリット

    一般的なカードローンであれば、金利18%ほどかかってしまいますが、この制度だと利子0%で融資を受けることができます(連帯保証人がいる場合)。

    また、保証人がいれば無利子で融資を受けることができますが、必ず保証人がいなければいけないというわけではありません。

    年率1.5%の利子がついてしまいますが、保証人なしでも、利用することができます。その分、審査は厳しいですが試してみる価値はあるのではないでしょうか。

    ただし生活福祉資金貸付制度の審査は厳しく、「時間をかけて手続きしたのに、結局審査に落ちた」となる恐れも。

    ここからは生活福祉資金貸付制度の種類や貸付条件、申込方法について見ていきましょう。

    生活福祉資金貸付制度の貸付対象とは

    生活福祉資金の貸付けの対象となる世帯は下記のとおりです。

    • 低所得世帯…資金の貸付けにあわせて必要な支援を受けることにより独立自活できると認められる世帯であって、必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)
    • 障害者世帯…身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者(現に障害者総合支援法によるサービスを利用している等これと同程度と認められる者を含みます。)の属する世帯
    • 高齢者世帯…65歳以上の高齢者の属する世帯(日常生活上療養または介護を要する高齢者等)
     生活福祉資金貸付制度は財源は全額公費(税金)で賄われている為、お金を返せる可能性が低い人は、お金を借りることが出来ません。

    生活福祉資金貸付制度で審査落ちとなる例

    • 他の貸付制度を利用できる
    • 生活保護や失業給付を受給している
    • 「すでに払い終わっている経費の支払い」が目的
    • 収入がない、もしくは安定していない
    • 多重債務者である
    • 住宅が確保できていない(確保が見込めない)

      ※生活保護に関しては「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」は貸付可能な場合があります。

      生活福祉資金貸付制度は他の貸付制度を使えるのに申し込むことはできません。また、多重債務であったり住所不定の方は別の制度に申し込む必要があるので各自治体に一度相談してみてください。

       生活福祉資金貸付制度とは、あくまで他の方法でお金を借りることができなかった場合の「最終手段」であるということ。収入や抱えている債務など、返済能力がないと見なされる人も審査に落ちやすいので注意してください。

      消費者金融や銀行カードローンからの借り換えは不可

      注意点としては、生活福祉資金貸付制度はすでに消費者金融などからお金を借りている人が「生活福祉資金貸付制度の方が利息が安いからこっちに借り替えよう」といったような目的で借りることはできない点です。

      そのため、現在自分の収入だけでは返せる見込みのない借金を負っているような場合には、上でも軽く説明しましたが債務整理を行うことを前提に考えてみる必要があります。

       なお、自己破産などの債務整理を行うために必要な資金については生活福祉資金貸付制度から立替えてもらうことは可能です。

      生活福祉資金貸付制度の資金種類、貸付条件とは

      貸付資金は、総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の4種類です。

      生活福祉資金貸付制度 根拠法

      ポイント
      • 総合支援資金(生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費)
      • 福祉資金(福祉費、緊急小口資金)
      • 教育支援資金(教育支援費、修学支度金)
      • 不動産担保型生活資金(不動産担保型生活資金、要保護世帯向け不動産担保型生活資金)

        では自分に一番何が合っているのか、詳しい条件を見ていきましょう。

        総合支援資金の貸付条件とは

        生活福祉資金貸付制度の総合支援資金は、失業等によって一時的に収入が激減してしまったという場合や、急な転居などが必要だけれど敷金や礼金を準備できないというような場合に個人でも利用できる制度です。

        また、消費者金融などから借りたお金を返せなくなった場合には弁護士などの専門家に依頼して「債務整理」という方法を使うことが考えられますが、その際に必要になる費用を立て替えてもらうなどの用途でも利用できます。

        資金の種類貸付額
        生活支援費2人以上世帯:月20万円以内
        1人世帯月15万円以内
        ※貸付期間は原則3カ月、最長12カ月以内
        住宅入居費40万円以内
        一時生活再建費60万円以内

        福祉資金の貸付条件とは

        生活福祉資金貸付制度の福祉資金は、主に怪我や病気などによって生活費を捻出できない人が利用できる貸付制度です。

        お金の用途としては介護や福祉用品の購入費用とすることや、災害があった時などに生活を立て直すために必要なお金として使用することが考えられます。(この場合は福祉資金のうちの「緊急小口資金」という区分になります)

        資金の種類貸付額
        福祉費580万円以内
        緊急小口資金10万円以内

        教育支援資金の貸付条件とは

        生活福祉資金貸付制度の教育支援資金とは、子供が高校や大学に通うために必要な学費を捻出することができないという場合に利用することができる制度です。

        高校や大学に通うためには入学金の他に半期ごとに授業料が必要になります。期限までにお金を払えない場合には入学試験の合格が取り消されてしまうこともあるので早めに対策を考えておかなくてはなりません。

        資金の種類貸付額
        教育支援費高校:月3.5万円以内
        高専:月6万円以内
        短大:月6万円以内
        大学:月6.5万円以内
        ※事情に応じて月額限度額の1.5倍まで貸付が認められる可能性あり
        就学支度費50万円以内

        不動産担保生活資金の貸付条件とは

        生活福祉資金貸付制度の不動産担保生活資金とは、自己所有となっている不動産(建物や土地のこと)がある場合には、この不動産を担保にして生活資金を借りることが出来るというもの。

        銀行などでも不動産を担保としてお金を貸してくれることはありますが、仕事をしていることが条件となるのが普通です。失業中という人はこの不動産担保生活資金の利用を検討してみると良いでしょう。

        不動産担保生活資金には低所得者むけの制度の他に、要保護世帯向け不動産担保生活資金という生活保護を受けている人向けの制度もあります。

        資金の種類貸付額
        不動産担保型生活資金土地の評価額の70%程度
        月30万円以内
        要保護世帯向け
        不動産担保型生活資金
        土地及び建物の評価額の70%程度(マンションは50%)
        生活扶助額(生活保護)の1.5倍以内
         希望すれば必ず限度額の上限で借りられるというわけではありません。失業した人が生活支援費を借りるなら、失業前の給料をもとに適正な月額を相談して決めることになります。

        生活支援費は最長12カ月借りられますが、就職が決まったらその時点で打ち切りになります。

        ただし働き始めて最初にもらえる給料は、勤務日数の関係で少ない場合もあるので、就職した翌月までは借りられます。

        生活福祉資金貸付制度の連帯保証人と貸付利子

        借入申込者は原則として連帯保証人を立てることが必要ですが、連帯保証人を立てない場合も借入申込をすることができます。

        貸付利子の利率は、連帯保証人を立てる場合は無利子、連帯保証人を立てない場合は年1.5%です。

        具体的にいくらまで借りれるの?

        生活福祉資金貸付制度には様々な貸付目的があり、それに応じて利用限度額が異なります。

        費用項目貸付限度額利用対象・目的
        住宅入居費40万円以内賃貸住宅の敷金・礼金等
        生活支援費月15〜20万円以内生活再建するまでに必要な費用
        一時生活再建費60万円以内失業・債務整理など
        福祉費513.6万円以内葬式・介護、住宅の増築など
        緊急小口資金10万円以内公共料金の支払い、給料の盗難など
        教育支援費月6.5万円以内学用品・通学・授業料など
        就学支度費50万円以内就学の入学時に必要な費用

        その他として上述しましたが「母子父子寡婦福祉資金貸付制度」という一人親が受けられる貸付制度もあります。

        こちらも最大283万円以内の個人向け貸付として国からお金を借りることが出来るため、医療や就学に必要な費用を賄う際に役立ちます。

        生活福祉資金貸付制度の借入申込みの流れとは

        生活福祉資金貸付制度の借入申込みの流れとは?平成27年4月から生活困窮者自立支援制度の施行に伴って、資金種類によって借入申込の流れが一部変更になりました。

        昔の申し込み方法とは違うので注意しましょう。

        福祉費、教育支援資金、不動産担保型生活資金の審査の流れ

        福祉費、教育支援資金、不動産担保型生活資金の借入れを希望する場合は、お住まいの市区町村社会福祉協議会に相談し、申し込むことができます。

        提出した申請書類等をもとに、市区町村社会福祉協議会及び都道府県社会福祉協議会において申込内容の確認と貸付の審査を行い、貸付決定通知書または不承認通知書が送付されます。

        貸付決定となった場合は、都道府県社会福祉協議会に借用書を提出した後、貸付金交付となります。

        なお、借入を希望する人の状況に応じて、包括的な支援が必要な場合は生活困窮者自立支援制度と連携しながら支援を行います。

        総合支援資金、緊急小口資金の審査の流れ

        総合支援資金、緊急小口資金の借入を希望する場合は、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用が貸付の要件となります(既に就職が内定している場合等を除く)。

        最初にお住まいの市区町村社協に相談した場合は資金借受希望などを職員さんに伝え、その後自立相談支援機関の利用につないでもらいましょう。

        自立相談支援機関においての審査では、あなた個々の状況に応じ、自立に向けた支援プランの検討とあわせて生活福祉資金(総合支援資金、緊急小口資金)の必要性があると認められれば、借入額や償還計画等について相談した上で必要書類を添付し、申請します。

        提出した申請書類等をもとに、市区町村社会福祉協議会及び都道府県社会福祉協議会において申込内容の確認と貸付の審査を行い、貸付決定となった場合は、都道府県・指定都市社会福祉協議会に借用書を提出した後、貸付金の交付となります。

        生活福祉資金制度の必要書類とは

        総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の4種類いずれも以下の書類が必要になります。

        1. 世帯の状況がわかる書類(※住民票など)
        2. 借りる人の本人確認書類(※運転免許証など)
        3. 給与明細、源泉徴収票、通帳の写しなど
        4. 税金の納付状況がわかる書類
        5. 連帯保証人の資力がわかる書類(※給与明細・源泉徴収票・通帳の写しなど)
        6. 債務状況がわかる書類
         これら以外にも、借りる資金の種類・社会福祉協議会の指定などにより提出すべき書類があります。詳しくは申し込みの際に確認してください。

        審査期間はどのくらいかかる?

        生活福祉資金貸付制度の審査期間は最短で2週間からとなっていますが、審査結果が出るまでには一定の期間を必要とします。平均して1カ月ほど見ておくと良いでしょう。

        生活福祉資金貸付制度とは(まとめ)

        生活福祉資金貸付制度は、無利子または低利子でお金を借りることができるのが魅力です。

        生活福祉資金貸付制度 根拠法
        ただし本来の資金用途と異なる目的で使うと返還を求められます。生活を立てなおす、子どもの教育資金に充てるなど、借りた目的に合わせて使ってください。

        返済期間は10年や20年などと長めですが、期日までに返済できないとペナルティとして残っている元金に延滞利子がつきます。

        こうしたデメリットを理解した上で、どうしても生活が苦しいという場合は積極的に利用していきましょう。

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